■ピョートルコフスカ通り118番地

通り正面に歴史的建物があるというわけではないが、中庭に当たる敷地内に古書店があり、そこで書籍を求めたのを機にピョートルコフスカ通り118番地の建物を解題してみることにする。ちなみに、この古書店で求めた「Łódź – dzieje miasta」第1巻は、ウッチ郷土史愛好家にとって、Anna Rynkowskaの「Ulica Piotrkowska」に匹敵する必須文献と言われているもので、以前から欲しいと思っていた書籍だった(当ブログの「■参考資料について」にも同書を追記してある)。

郷土史愛好家Borowski氏の詳細な資料によると、118番地の建物は1880年代から少なくとも1920年までは Juliusz Schultzもしくは同家の家系の者の所有で、正面の建物が2階建てになったのはようやく1891年のことであったそうだ。ポーランドに限らず欧州では、通りに面した正面の建物だけでなく、中庭に入ったところに同じ番地で複数の建物が並んでいることが多い。件の古書店もそうした中庭に入ったところにあった。同じ資料で、かつて118番地にどのような建物(小工場や店)があったのかを当時の広告を通して垣間見ることができる。同じ資料ではまた、これまでの投稿にも登場している著名な菓子店経営者Aleksander Roszkowskiの菓子店もその中に含まれている可能性があるとの記述があるが、これは確証が取れていない。

aaa
118番地にあった菓子店 „Niespodzianka” の広告(http://piotrkowska-nr.pl/)

ところで古書店といえば、筆者の学生時代は書籍といえば紙の書籍しかなく、また学生故新刊書だけで文献を揃えるだけの経済的余裕もないことから古書店で必要な書籍を探しまわることが多かった。現代の学生たちにとっては想像もつかないことかもしれないが。。。。海外に長いこと住んでいると日本の現在の事情にどうしても疎くなってしまうが、現代の学生たちと古書店とのつながりが今どうなっているのか大いに興味があるところではある。

目的に至るための行為そのものが目的になってしまうということはよくある話しだが、古書店巡りも同様で、古書店巡りそのものを趣味にしてしまった友人が筆者の周りにもたくさんいた。筆者自身、日本に一時帰国するとどうしても神田神保町に足が向いてしまう。自分も「目的に至るための行為そのもの」を「目的に」してしまった一人だったのかもしれないなと今になって思う。

 

(2016年7月5日、以下追記)

写真が撮れたので追記しておく。

Piotrkowska118

ピョートルコフスカ118番地の正面の建物

Piotrkowska118_Antikwariat-001 Piotrkowska118_Antikwariat-002 Piotrkowska118_Antikwariat-003

ピョートルコフスカ118番地の古書店”MYSZY i LUDZIE”

なお、郷土史愛好家Borowski氏に再度考証して頂いたが、菓子店”NIESPODZIANKA”はやはり、Aleksander Roszkowskiの経営によるものではなかったようだ。Roszkowski氏が76番地でメインの菓子店を経営していた当時、103番と107番地にも菓子店を所有していたことは確認できるが、118番地の菓子店は別の人の経営によるものと考える方が順当らしい。

 

(了)

カテゴリー: ウッチの歴史, ピョートルコフスカ通り, ポーランド・ウッチ, 日々つれづれ パーマリンク