■ 日々つれづれ(2017-05-11)

うれしいことに、最近当ブログを訪問くださる方が増えてきた。当ブログの切り口は2つあって、筆者が住んでいるポーランドの知られざる大都市ウッチ市の歴史を、ポーランド語を解さない方々のために紹介するということの他に、もう一つのテーマである、いわば第一のテーマとは逆方向の作業となる、当地の方々に日本語を広めるという切り口があるからだろうと想像している。

ただそうだとすると、自分がやっているように、日本語教授に関する情報を求めて訪れる方が増えてきた可能性も大いにある。大学では日本文学を専攻したとはいえはるか昔の話であるし、日本語教授法を専門的に学んだわけでもない筆者が、ほとんどボランティアでやっていることについての感想を綴っているだけなので、あてが外れてガッカリという方もいらっしゃるかもしれない。そうした方々にはこの場でお詫びをしておきたい。

実際、2つのテーマの優先順位がこのところ逆転してしまった感がある。半年前に2つめのテーマ実現に着手してからすでに二度、ひらがなに関するワークショップもどきを請われて行っているし、近々また別のところで似たようなイベントの予定がある。すでに行った2つのワークショップのうち一つは、当地の第二高校で行われた日本デーで、もう一つは当ブログでも紹介したウッチ大学で行われた日本デーである。今度は中学生を対象に話しをするということで、今から何を話そうかと、ない知恵をしぼっている。

当然、授業の準備もやらなくてはいけないので、「主夫」をしながらのワークロードはそこそこのレベルになって退屈しない。もともと企業での職業生活を早めに切り上げたのも、単にのんびりしたいというのが理由ではなかったし、2つのテーマはともに、「趣味」であるパソコンを使うことにリンクしているので、むしろ喜んでやっているという方が実態に合っている。

第一のテーマである歴史については、ソ連と東欧圏の崩壊をいわば「歴史体験」して、これにややリンクした形でポーランド移住を実行してからずっと考え抜かれてきたテーマで、目指す方向などは自分の中で明確になっている。一方、第二のテーマについてはようやく少し見えてきたというのが正直なところである。

これまで、恩師や友人たちの目に見えない様々な後押しや、家族の援助があっていろいろな語学に手を染めかつ生業の糧ともしてきたが、企業人生を終えるときに正直感じていたのは、「いろいろやったけどみんな中途半端だったな」という思いだった。それでも言語というテーマで何かやりたいと考えていて消去法で残ったのが日本語。もちろん、手軽にできると思っていたわけではない。それだけ、自分が学んだ「外国語」のレベルの低さ、「使えない」という思いを身にしみていたということだと自分の中で整理している。

日本紹介ということですぐに思い浮かぶのは、やはり書道や華道(生け花)、あるいは折り紙といった日本の伝統文化であろう。当地ウッチ市に限定して見回してみても、こうした仕事については長い伝統があるし、多くの人が手がけている。日本語学習という点に限定してみても、そうした伝統文化に惹かれてという学習者が多い。また若い人たちでは日本のアニメに惹かれてという人も増えているようだ。

日本の伝統文化やポップカルチャーを広めることはもちろん有意義なことだと思う。ただ、大部分の日本人にとり日本語は意識することさえない生活の一部であって、伝統文化やポップカルチャーに直接結びつくものではない。一つの例として、自分のことを考えてみる。ポーランド語を日常使っているが、考えたり、その考えを文章にしてブログに投稿したりするのは日本語だ。そもそも、自分は伝統文化やポップカルチャーには縁が浅いし、どう考えてもその紹介者の資格があるとは思えない。今の自分は、できないことをできると思い込む必要からはすでに自由になっているし、なにより自分が学んだ「外国語」のことですでにそのような思い切りを経験している。

繰り返しになるが、日本の伝統文化やポップカルチャーを紹介することに意味がないと言っているわけではない。伝統文化やポップカルチャーに「直接」結びつかない、ごく「普通の日本語」を教えるという日本語教育があってもいいのではということである。もちろん最終的には学習者の思いが優先されるわけであるが。。。。

(了)

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