■日々つれづれ(2017-06-14) ー 起承転結ということ

小生のような六十代半ばの日本人にとっては、「起承転結」という言葉は恐らく馴染み深いもの、それも肯定的な意味で馴染み深いものではないかと思う。そのつもりで、ウィキペディアの記事をチェックしてみてアレっと思った。当該記事にこんな記述がある(2017-06-08現在)。「起承転結による文章は論理的ではないと指摘されている。文章やストーリーの構成としての起承転結は、国際的には一般的ではない。国際的には、英語の一般的な文章ではパラグラフ・ライティング (主張 → 根拠 → 主張)、。。。中略。。。が主に用いられている 。」

確かに小生も、企業に勤めていた当時は、報告は口頭か文章かにかかわらず、先ず結論を述べ、次いでその根拠を敷衍し、最後に最初の結論に戻るというスタイルを取るように努めていた。逆に、当時のあるローカルスタッフがどうしてもこのスタイルに馴染むことが出来ず、最初に事実関係や背景を延々と述べ立てて結論をなかなか言わず、ひどくイライラした経験もある。しかしこれは、実務における文章の話し。筆者について言えば、当時でも私的な文章は推敲を重ねていく過程で自然に起承転結のスタイルになっていたし、今もそうではないかと思う。文章に対する好みの問題、あるいは人とその生に対するアプローチの問題ということで考えれば、文章が論理的であるか否かは大した問題ではないとも言えるし、前述の記事では出典を明示しているので記事の書き方そのものにも問題はないと思う。ただあくまでも可能性の話しではあるが、記事の全体からみて前述記事の投稿者が日本語そのものが論理的でないと考えている可能性はある。ひとまずそう仮定して、自分はこの点についてどう思うかということを考えてみよう。当該ウィキペディアの記事がそのきっかけの一つを与えてくれたことに感謝しながら。

筆者は、十代の終わり頃から広い意味の「欧州の思想」にかぶれてこれを選択し、四十歳で欧州、それもかつて東欧と呼ばれた国に移住して今も住んでいる。そして、年金生活者の年齢に達した今、改めて母の国の言葉である日本語を見直している。それは日本語の構造を意識的に見直すということにつながり、さらに、日本語の「論理」ということに思いを馳せることにつながっていく。具体的には、「外国人」に日本語を教えるという活動を通じてこの作業を行っている。自分一人だけの頭の中であれこれひねっているだけでは考え方や内容にどうしても広がりが乏しくなるので、貴重な楽しい作業になっている。さて日本語の論理もしくは日本語文章作法ということでいうと、起承転結という表現の他に序破急という言葉もよく使われるようだ。学生時代に教養科目で能学の授業を履修したこともあり、個人的には「序破急」とか「秘すれば花」といった表現にはとても親しみがある。これらの表現は日本語の「論理」とか考え方を示した典型的なものとして一応考えることができるであろう。一方で、欧州の「論理」としての典型は何であろうか。筆者は、それは「弁証法」ではないかと考えている。欧州文明の水面下にあるものはキリスト教と哲学の二つであろうが、弁証法はそのうちの哲学における基本的な考え方ではないかと思う。「テーゼ」、「アンチテーゼ」、「ジンテーゼ」。なにか、起承転結の起承・転・結や序・破・急に通ずるものを感じないだろうか。

さて再び本題。グーグルで検索すると、起承転結だけでなくこれと序破急とを並べてテーマにしたサイトが結構ヒットする。中には、起承転結はくだくだするのでブログには向かないと述べた文章もある。実際、当ブログの投稿を読んでその感想をくれたある親しい友人から、もっと短くしなければダメと言われたこともある。ただそうだとすると、起承転結で書くことを基本にしている当ブログは「ブログ」というカテゴリーには入らず、看板をかけ直す必要があるということになってしまう。例えば、ブログではなく雑文サイトといった感じで。。。。もっとも、「ブログ」という言葉の定義にも様々な見解や幅があるだろうから、こだわらなくてもいいのかもしれない。目に止まること、読まれることを主な目的として書かれているものだけがブログということでもないだろう。今自分がやっていることは基本は自分のため。その上で読んでいただける読者がつくのであればよりうれしいというスタンスでやっている。将来ウッチ郷土史の翻訳がある程度まとまったら別のアプローチをトライすることも考えてはいるが、いずれにしても目に止まることだけを目的にした文章を投稿していくつもりはない。地元の人達に日本語を教えながら自分も日本語の見直しをする、日本の人たちには地元ウッチの歴史を日本語で紹介していく。そのツールであるこのサイトの意味がなくなることは当分ない。

(了)

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