■日々つれづれ(2018-08-11)ー夏期休暇のこと

昨年の夏季休暇はポーランド国内のヴィスワという所で過ごしたが、今年は久し振りに海外(ポーランドから見て)のスペインに出た。その旅行から帰って、何ということなく過去の投稿の見直しを行なっていたのであるが、その際に気づいたことがある。当ブログのオリジナルの主要テーマは、ウッチの歴史紹介であるが、この主要テーマから少し離れて、「日々つれづれ」というシリーズでの投稿を始めることを宣言してから既に1年半ほど経った。その後、時々の思いを短く綴るTwitterを、本格的にブログにリンクさせるなど、ブログの「顔」もずいぶん変わってきている。

また同時に、ラップトップにインストールしてあった非公開版の日記や半生記にも手を入れ、普段編集しない投稿はアーカイブして閲覧専用にするなど、整理してスッキリさせた。それやこれやでの思いつきながら、昨年と同じように今年も番外編ということで夏季休暇レポートを綴ってみることにする。ちなみに、昨年のレポート「■日々つれづれ(2017-08-24)ー Villa Japonicaのことなど」は(ここ)で参照できる。

今年の休暇先をスペインと決めたのは、実は自分ではなく同行した家族の意向である。彼らにとっては6年前に一度訪れている既知の場所で、その際の印象がとても良かったというのが理由である。都市名はアルムニェーカル。南スペインの地中海(個別の名称では「アルボラン海」というのだそうだ)沿岸の古都である。といっても、いつもの通りこれは後付の情報で、実際に滞在して初めて理解した知識である。大雑把な情報はウィキペディアで簡単に参照できるので煩わしいリンクは貼らない。

ここで、関心を持たれる方もいらっしゃると思うので、ポーランドで一般的なパック旅行のシステムを簡単に記しておく。日本のシステムと大きな違いはないと思うが、大別して名所旧跡を回る観光型と一箇所に滞在する滞在型がある。それぞれ一長一短あり、筆者も西ウクライナを訪れた時は観光型のパックを使い、名所旧跡を見て回った。今回は休息が目的なので滞在型のパックを購入した。ホテルの食事は、通常の朝食込みの他に、オプションで3食込みと、昼食か夕食かを選択できる2食込みがある。今回泊まったホテルには敷地内にそこそこの広さのプールがあり、ほとんど外に出ずに食事もホテルのお仕着せで済ますという人も結構いたようだ。我が家は2食込みのオプションを取り、朝食と夕食はホテルで、昼食は市内でとるということで全期間を通した。また、近郊の名所などを訪れる小旅行のオプションもあったが、今回は参加しなかった。

IMG_20180806_123204

ホテルの概観と付設するプール、下はホールの風景

実はこれが正しい選択であったことはあとから分かる。一つのホテルを拠点にした海水浴が主体の滞在型であるから、日中は海岸に出て海水浴をする。泳ぎがダメな筆者はもっぱら甲羅干し。家族は海に入ってパチャパチャやっている。ただし、日焼けし過ぎてもいけないので適当な時間に切り上げてホテルに戻る。シャワーを浴びてから昼食を兼ね市内の散策に出る。アルムニェーカルは小都市ながらも南スペインの都市。街の活動が始まるのは夜になってからで、レストランなども選択肢は限定される。要すれば、近くのスーパーマーケットで食材を買い込んでホテルの室内で軽食を取るということもある。さて、そんなある日市内を散策していた時のこと。屋根の上に十字架が見えるので行って見てみようということになり、一先ずカトリック教会であることを確認した。その後その先にある「文化会館」に何気なく入ってみて気がついた。アルムニェーカルはローマの支配に入る前に既にフェニキア人達の植民市であったらしい。その時は、「らしい」で終わったが、ホテルに戻ってさっそくインターネットで検索して、アルムニェーカルが実際に古い都市であることを確認した。さらに別の日の夜の散歩では、ローマ時代の水道橋の跡も見ることができた。


夜の街の風景

市内にあるカトリック教会


ローマ時代の水道橋の跡

話題は変わるが、50歳の半ばを過ぎた頃から仕事がマンネリ化し、単身赴任ということもあって時間を持て余すようになる。第二の人生に入るまではまだ大分時間がある一方で、そうなった時に何をしようかなどと考え始めるようになっていた。最初は、学生時代から職業人になるまでの期間(フリーターという言葉で表現される生活形態を続けていた)にやりたいと思って結局できなかったことは何だったろうかという問いがまず頭をもたげる。しばらくして、1.旧ソ連東欧の歴史の見直し、2.スラブ諸語、特に南スラブ諸語の学習、3.キェルケゴールからハイデッガーに至る思想の流れのおさらいという3本柱がある程度明確になっていく。

既に第二の人生に入った今でも、その大きな流れは変わっていないと思う。「1.」については、ウクライナを巡る歴史への強い関心ということで続いているし、「2.」については、残念ながら新しい言語を習得することや言語学を本格的に修めることは断念したが、これまで携わってきたスラブ諸語の習得経験を逆手に取ってポーランド人に日本語を教えるという形で続いている。「3.」は一番手強いターゲットであるが、20代初めにカミュに出会い、ドストエフスキーを経験して、今はハイデッガーに取り組んでいる。

日本のことを軽んじるわけではないが、欧州に実際に住んでいるとやはり関心は身の回りのことに向かわざるを得ない。また、欧州の外から入ってきたアジア人の方が、欧州で何が起きているのかがよく見えるということもあるかもしれないと、最近は思い始めている。そんな心持ちで日々を送っている筆者にとって、今回の夏季休暇の一番の収穫は、久々に長女と一緒に旅をしたことでもなく、新しい言語であるロマンス諸語圏のスペイン語に触れることができたことでもなく、ハイデッガーの『存在と時間』の解説書をゆっくりと読む時間があったことでもなく、20代の初めに出会ったカミュが見ていたであろう海の対岸に立っていたという発見であった。


<了>

“■日々つれづれ(2018-08-11)ー夏期休暇のこと” への2件の返信

  1. とても古くからの歴史がある街だということで、貴重な写真や文章を楽しみに背景しました。ありがとうございます。

    いいね

  2. スペインでの夏季休暇の様子、楽しく読ませてもらいました。また、三浦君がウクライナを何度も訪れていることや、スラブ言語に関心があることなど知りました。カミュやハイデッガーなどは、名前は聞いたことはあっても中身は全くわかりません。写真が鮮明で、よくわかり嬉しいです。ありがとう。また、おりに触れ読ませてもらいます。

    いいね

コメント欄

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください